第8 注意点
1 検察官の間違いに巻き込まれるな!
(1)刑弁「弁論要旨」起案の難しさ
刑弁起案の検察官立証には,必ず間違いがある。なので,何を書くかは,簡単である。 しかし,ときにこの間違いは,検察官立証の構造を把握することの障害になってしまう。 すなわち,検察官立証が穴だらけすぎて,検察官がどのような立証をしようとしているのか,よくわからない,という自体が生じてしまう。
(2)心がけ
これを防ぐには,刑弁起案は検察官立証の間違い探しだから,検察官立証には間違いがある,と心がけておくことだろう。その上で,検察官の意を汲んでやる,すなわち,「間違えちゃった担当検察官は,本当ならこういう絵を描いていたんだろうな。」と想像するようにする。そうすれば,比較的確実に検察官立証の構造を把握することができる。
(「こんな立証,全然だめだよ。」と感じたことがあれば,そこが間違いなのだから,それを念頭に置いておく。けれど,それにひっぱられて,検察官立証の把握をしそこねてはいけない。)
code:刑弁起案の2ステップ
ⅰ まず,ちょっとドジな検察官の気持ちを汲んであげる。
↓
ⅱ その後,おもむろに,思う存分,たたきまくる。
2 刑弁起案ルール
(1)形式面
書式集がついてくるから,心配なし。
印を忘れない。
(2)内容面
ア 争点の設定については,起案者の自由
正当防衛,責任能力,自白等を論じてもよい。
イ 同意している書証について,弾劾・排除も可。
ウ 裁判所が伝聞例外でとった書証についての弾劾は,もちろん可。
エ しかし,同意・不同意の読替えは,禁止。